さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、またまたIT(情報技術)絡みの恐ろしいお話でございます。
最近、日本では、スマートフォンのモバイル決済機能を使って、スーパーやコンビニでの買い物の支払いなどを全てスマホで済ませる人が増えています。
ところが、欧米ではもっとすごいことになっています。ご存じの方も少なくないと思いますが、さまざまな個人情報を入力した米粒ほどの小さなマイクロチップを手の皮膚に埋め込み、その手をかざすだけで買い物の支払いやオフィスの入り口の施錠ができるなど、SF映画の中の出来事が現実化しているようです。
そんな欧米でいま、このSF映画的なシステムを巡り、便利どころか、人権侵害にも当たる問題が勃興し、物議を醸しているのです。というわけで、今週は、この問題についてご説明いたします。
■社命で北欧すでに導入、日本あのICカードも…
11月11日付の英紙ガーディアンやデーリー・メール、同14日付のインディペンデント(いずれも電子版)などが、この分野で世界をリードするスウェーデンの企業「バイオハックス(Biohax)」が、英国の複数の法律事務所や、数十万人が働く大手の金融機関の従業員の手に、こうしたマイクロチップを埋め込むため、企業側と交渉を進めていると報じました。ちなみに、埋め込みにかかる費用は150ポンド(約2万1600円)を想定しているそうです。
理由は、セキュリティーの強化や、機密情報を扱う部門やその部屋などへの無用の立ち入りを制限するためです。バイオハックスの創業者、ヨワン・オスタールンドCEO(最高経営責任者)は前述のデーリー・メールなどに、こう説明したと報じています。
「マイクロチップは誰の行動にも制限を課すことができる。そして、こうした企業(現在、協議している英国の法律事務所や大手の金融機関)は機密文書を扱っているが、(マイクロチップを手に埋め込めば)それを紛失することも、落とすことも、忘れることもなくなる。常に究極のバックアップを有していることになる」